サボテンの花の水やり

三日坊主の成長備忘録 早く人間になりたいなぁ

サボテンとコンタクト

三日坊主、せめて三日までは足掻いてやろうと今日も文字を売ってみようと思う。継続は力なり

生まれてから大学2年生まで人間とは無縁の生活をしてきた、化粧をしようという気も無かった。
周りの同級生は大学に来るのでさえも髪を綺麗に巻いて、化粧もしっかりとして講義に必要な教科書も入らないような小さいブランド物のバッグを持ってきていた。
彼氏とデートの時はもっとお洒落な格好をするんだなと思った。

さて、ここで自分の周りの交友関係について書いておこうと思う。
類は友を呼ぶ、つまり自分の周りもいわゆる人間では無かった。
化粧はせず、ジーパン、大きいリュックに教科書を入れる、周りのキラキラ女子とは真逆だった。
周りが自分と同じだからとても心地が良かったし、危機感は全く無かったのだ。






そんな自分が危機感に襲われる時が来た。
成人式だ

成人式、一般的には女性は華やかな振袖を着て髪の毛を綺麗に巻いて、そして化粧も勿論する。
我が家は経済的にも家族仲的にもとても恵まれていて成人式に行かないという選択肢は全くなかった。
自分自体も成人式には行きたかった
これは機会があったら書こうと思うが昔自分はいじめられていた。
小学校の時だったがその時から太っていたし地味だったしなにより天然パーマが酷かったのだ。
自分のTwitterの名前はトリアタマと言う
散歩歩いたら忘れるトリアタマと言う意味もあるのだが、チリチリとした髪の毛、まるで鳥の巣、トリアタマと言ういじめられていた頃のあだ名の意味も実はある。
成人式は地元の人間が集まる。だから自分を昔虐めていた人にも会う可能性がある、嫌だ、絶対に嫌だ。
今では笑い話としていじめられていた話をしているが当時は味方なんて学校にはいなかったし、今でも言われた言葉、された暴力、悲しかったことを思い出しては心が痛くなる。
中学では心機一転しいじめられることもなくなっていた、だから私は中学の友達に会いに行くんだ。

そんな気持ちで成人式に参加することを決意した。




成人式は事前準備が必要になる。
着物を決めて、当日の着付け、美容院の予約、打ち合わせ。

私が危機を覚えたのは着物店での事前打ち合わせだ。
今でも覚えている。
担当者は聞いてきたのだ
「お嬢様はコンタクト等はお持ちですか?」

コンタクト、未知の世界だった。
名前だけは知っていた、目に異物を入れるという認識だった。

私は小学校6年生から眼鏡で生きてきた

今思えば人生で1度だけの晴れ舞台、最大に着飾るのは当然だった。
眼鏡で成人式に行った人には失礼になるが、眼鏡を外して目の周りの化粧もしっかりするのが当たり前だったのだ。

自分は未知のものに恐怖心がいつもあった、コンタクトも当然怖かったのだ

親もコンタクトをさせることを全く考えていなかった、今はだいぶ視力が下がっているから当日眼鏡を外して裸眼で挑むのは無理があった。
自分は降参するように

「当日はコンタクトにしてきます」
と店員に向かって言った。

親も眼鏡だった、昔はコンタクトをしていた時もあったがそれは20年も前だから周りにコンタクトの人間がいなかった。

コンタクトを付ける為にまずは眼科へ向かった。
そこで視力を改めて測り直して、コンタクトをつける練習をした。

「コンタクトを右の人差し指で取って、左の人差し指と中指で目を開かせて、入れてください。」
「左でさっきと同じように目を開かせて、右の親指と人差し指でコンタクトを摘むように取ってください。」

店員の言っていることは理解はできた、理解はできた。
でもいきなり目に何かを入れるのが本当に本当に怖かったのだ。
途中に諦めかけて半泣きの私に
「ここで出来なかったら家に帰っても出来るわけないでしょ」
と店員は言った。
最初の丁寧な対応から吐き捨てる様な言葉に変わった。
それもそうだ、私はコンタクトをなかなか付けられず半泣きで店の椅子に10分も座っている客になってしまったから。

そこから無理矢理、本当に無理矢理入れたくも、したくもないコンタクトを半泣きで入れて、取って、私は合格を貰えてワンデイのコンタクトを買って家に帰った。
10月末の事だった。

次の日、練習の為にもコンタクトを家でつけてみた。
同じく10分はかかってしまったが半泣きはしなかった。
でもその日は特になにも、本当になにも予定がなかった為無駄に良くなった視界は家の景色しか映さなかった。



それから一週間後に私はあるイベントに行った。
2016年11月6日 幕張イベントホール
美男高校地球防衛部LOVE!LOVE!LIVE!だ

美男高校地球防衛部は私のその時の自ジャンルだった。
防衛部のイベントは何度か東京に足を運んでいたが、ライブイベントは初めてだった。

声優さんが衣装を着てキャラクターのキャラソンを歌って躍るライブで、チケットが当選してからは毎日毎日その日を楽しみにしていた。

イベントには夜行バスで向かった。
そして朝東京に着いて、慣れていないコンタクトを苦戦しながらも入れ、始めたての化粧をして会場へ向かった。

コンタクトの方がメガネよりは度が高いので景色もいつもよりもはっきりと見えた。
なによりほんの少しでも、眼鏡が無いだけで自分の見た目が人間に近づいたのを感じていた。

少しだけ自信を持って歩けた気がした

イベントでライブを見れる他に、東京というキラキラとした都会を少しでも自信を持って歩けることが本当に嬉しかった。

イベントが開始されるまではお世話になっているフォロワーさんに挨拶をして回った。
いつもよりもちゃんと胸を張って綺麗なお姉様と話せている気がした。

そして終演後に3年前からTwitterでは繋がってはいたものの1度もあったことが無い人に会えた。
年下なのは知っていた、初めて会う彼女は関東の人でイベントにも慣れていて、身なりもきちんとしていた人だった。
私は歳を隠していなかったので彼女にもいくつかは知られていたと思う。



ねえ、会うのは初めてだったけど、いつもの眼鏡を外してコンタクトの私、年相応に見えたかな?